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『スマホ脳』要約・読書感想ースマホがもたらす脳への悪影響とは

スマホ脳(新潮新書)

著者はスマホをはじめとしたデジタルデバイスが、精神疾患を助長し、睡眠障害やうつ病の増加、記憶力や集中力、学力の低下といった悪影響を及ぼすと言います。

スウェーデンで出版されたのち、瞬く間に話題となり世界的ベストセラーとなった本書がついに日本でも発行されました。

『スマホ脳』の要約と読んでみての感想を紹介します。

 

 

『スマホ脳』要約

デジタルデバイスの中でも、私たちに最も身近なものといえばスマートフォンですよね。

多くの人にとって必需品とも言えるのではないでしょうか。

この本では、スマホが私たちの脳に与える悪影響に関して、精神科医である著者によって論じられています。

 

スマホが脳をハックする

私たちは1日に2600回以上スマホを触り、平均して10分に1度スマホを手に取っているそうです。

スマホが側にあるだけで、脳の報酬物質と言われるドーパミンが分泌され「大事かもしれない」もしくは「楽しいかもしれない」情報を見るため、パブロフの犬のようにスマホを触りたくてたまらなくなるのです。

テクノロジーに精通している人ほど、その魅力が度が過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えているようです。

実際、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは、自身や子供たちに対してスマホなどのテクノロジーの使用をかなり制限していたそうです。

では具体的に、スマホは私たちにどんな悪影響があるのでしょうか。

詳しくみていきましょう。

 

スマホがもたらす悪影響①:集中力の低下

スマホをポケットに入れておくだけで、目の前の作業への集中力が下がってしまうことがわかっています。

また、スマホの悪魔的な魅力が原因で集中出来なくなることにより、周囲への関心が薄くなったり、情報を長期的に記憶できなくなったりしているそうです。

できる対策は、自分からできるだけ離れた場所へスマホを遠ざけておくしかありません。

 

スマホがもたらす悪影響②:うつになる?

サウジアラビアにおける1000人以上を対象にした調査で、スマホ依存とうつ「警戒すべきレベル」の強い相関性があると結論づけられた。中国でも、スマホをよく使う大学生は孤独で自信がなく、うつが多いことが確認された。オーストラリアでは、うつを患う人はスマホを極端に多く使うケースが多いと判明している。(p.117)

 うつだからスマホ依存なのかスマホ依存だからうつになりやすいのか。

そこはまだはっきりとはしていないようで、たまごか先かニワトリが先かのような議論が必要でしょうが、著者はスマホの使用がうつの危険因子の一つだと考えています。

 

スマホがもたらす悪影響③:睡眠障害

睡眠時に壊れたタンパク質が老廃物として脳から除去され、短期記憶から長期記憶への移動が行われます。

睡眠は私たちにとって大変重要なのにも関わらず、スマホを寝る前まで見続けていると、ブルーライトが脳を目覚めさせ、眠れなくなってしまうのです。

そのうえ、スマホがストレスを生み、ストレスが睡眠を妨げる。それでも足りないみたいに、すでに書いたようなアプリやSNS、ゲームなど、ドーパミンと関係するあらゆる刺激によって脳が目覚めてしまう。(p.123)

実際、スマホを寝室へ持ち込む子供はそうでない子供と比べて1時間も睡眠時間が少ないことが分かっています。

 

スマホがもたらす悪影響④:自尊心の低下

 フェイスブックとツイッターのユーザーの3分の2が「自分なんかダメだ」と感じている。

(中略)

10代を含む若者1500人を対象にした調査では、7割が「インスタグラムのせいで自分の容姿に対するイメージが悪くなった」と感じている。20代が対象の別の調査では、半数近くが「SNSのせいで自分は魅力的ではないと感じるようになった」と答えている。

 SNSを頻繁に利用しても、心の健康を損なうことなく、逆に人生の満足感が増して自身もついたと感じている人もいます。

違いはというと、普段から自己評価が低く自信がない人や、他人の写真を見るだけで自分からは積極的に写真やツイートをアップせず議論にも参加しない消極的なユーザーが精神状態が悪くなりやすいそうです。

 

スマホがもたらす悪影響⑤:バカになる?

私たちのIQは世代ごとに上昇し続けています。

しかし興味深いことに、90年代の終わりからIQの上昇が頭打ちになり、今では平均スコアが毎年いくらか下がっているといいます。

 

脳は学習によって成長し、物理的に大きくなります。

その一方、必要のないことには力を注がずにエネルギーを節約しようとする面もあります。

 スマホやパソコンに多くのことを任せることで、より大事なことに知能を使えるのではないかとも考えらる反面、わたしたちが愚かになっている可能性も捨てきれないのです。

 

運動という対抗策

スマホにおける脳への悪影響を防ぐ対抗策として、「適度な運動をする」という方法が紹介されていました。

身体を動かすと、心が健やかになり、基本的に全ての知的能力が向上するといいます。

そして、運動すれば、よく眠れます。

運動の種類は基本的にどんなものでもいいけれども、心拍数を上げるとより良いとのこと。

週に2時間ほどでいいとのことでした。

 

感想、まとめ

わたしも、もう寝なきゃいけない時間なのについついスマホを触り続け、気づいたらかなりの時間が経っていたなんてこともよくあります。

自分の体や心によくないかもとわかっているのにやめられないんですよね。

もうスマホ依存症になっているのでしょうね。

 

スマホ依存症になっている場合、「なるべく使わないようにするぞ!」と決意することは何の意味もありません。

だって自分の意思ではコントロールできなくなるのが依存症なのですから。

依存症から抜け出すには、その影響力やどんな影響があるのかを知り、具体的に対策するしかありません。

 

本書には、運動の習慣を取り入れる以外の具体的な提案も書かれていました。

 

例えば、「夜はなるべく寝室にスマホを持ち込まずに、起きるためには携帯のアラームではなく目覚まし時計を使おう」といった提案です。

 

自分がスマホの使いすぎで心身の健康に支障をきたしているのではと少しでも不安になったことがある人は、本書『スマホ脳』を読んでみてはいかがでしょうか。