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【自転しながら公転する】あらすじ、ネタバレ読書感想。タイトルの意味は?表紙のモデルは誰?

自転しながら公転する

本屋大賞候補となっている山本文緒さんの『自転しながら公転する』を読みました。

 

いや~読みごたえがありましたね~。

 

今年の本屋大賞ノミネート作は短編集やオムニバス形式の作品が多い中、本作はほぼ一人の主人公からの目線で綴られた長編小説です。

 

普段から読書をしている人たちには、長編もなんのそのでしょう。

むしろ、この分厚さ、この重み。待ってました!という感じですよね。

 

そして、ストーリーとしては年頃の女性が仕事や恋に悩むよくある話……かと思いきや、エピローグで見事にひっくり返される読者の予想。アッパレです。

ミスリードが見事すぎる!

 

そんな『自転しながら公転する』の作品情報と視聴感想を詳しく語っていきたいと思います。

 

 

『自転しながら公転する』作品紹介

作品の簡単なあらすじ、表紙のモデルさんは誰か、タイトルの意味について、解説していきます。

あらすじ

重い更年期障害を患っている母の面倒を見るため、東京から地元の茨城県牛久市に戻ってきた与野都。

アウトレットモールに入っている洋服店で契約社員として働きながら、母の面倒を見る日々。

地元の友達は次々と結婚したり仕事でキャリアを築いていく中、都も回転寿司で働く貫一と出会い付き合い始めた。

気が合うし一緒にいて楽だけど、経済的に不安定な貫一と関係を続けていっていいのかと気持ちが揺れる都。

おまけに実家がお金持ちのベトナム人、ニャン君が僕と結婚しようと口説いてくる。

煮え切らない気持ちを抱える中、両親ともに体調が悪化、職場でも人間関係のトラブルが次々と起き始め……。

 

『自転しながら公転する』表紙のモデルさんは誰?

自転しながら公転する、表紙がおしゃれで目を引きますよね。

この女性は本書の主人公、都をイメージしているのしょうね。

モデルさんは誰なのか、気になって調べてみました。…が誰かわかりませんでした。

残念。

フォトグラファーはコハラタケルさんという方で、本書の表紙のような、街並みにたたずむ女性のポートレートをたくさん撮ってらっしゃいます。

SNSやHPを見てみたら、とっても素敵な写真がたくさん!

ぜひ見てみてください。

 

HP:コハラタケル | MY PERSPECTIVE | ヒーコ | あたらしい写真の楽しみを発見し、発信する。

Instagram:https://www.instagram.com/takerukohara_sono1/

Twitter:コハラタケル (@takerukohara) | Twitter

 

「自転しながら公転する」の意味とは

タイトルの「自転しながら公転する」ってどういう意味なんでしょう?

それは都と貫一、はじめて2人で飲みに行った時の会話からわかります。

都が言います。

「家事をやりつつ、家族の体調も見つつ、仕事も全開で頑張るなんて、そんな器用なこと私にはできそうもない。でも世の中の、たとえば子供いる人なんかは、みんなそうしてるわけでしょ。ジャグリングっていうの、あのボウリングのピンみたいなの、四本も五本も一斉に回してるみたいな生活を毎日してるんでしょ。なのに私、これしきのことで、なんか頭ぐるぐるしちゃって」

すると貫一は答えるんですよね。

「そうか、自転しながら公転してるんだな」と。

 

ようするに、「自転しながら公転する」とは家族や仕事といった周囲の状況に翻弄されながら、制御できない自分自身の気持ちにも翻弄されている状態という意味なのでしょう。

 

わたしも都と同じ30代。

仕事も私生活ももっと上手くやりたいのに……というモヤモヤした気持ちはなんとなくわかります。

 

 

『自転しながら公転する』ネタバレ読書感想

 ※ここからネタバレあります!

 

 

 

 

 

最終的に、貫一と都は紆余曲折の末結婚し、娘を授かります。

ここまでのグダグダがちょっと長かった…….。

 

冒頭のプロローグでベトナム人と結婚する様子が描かれているので、読者は結局貫一とは結婚しないでしょ?ベトナム人のニャン君と結婚するんでしょ?じゃあこの長い貫一都ストーリはなんなの?と思ってしまうんですよね。

 

これが著者が仕掛けたミスリードでした。

 

実はプロローグで描かれていたベトナム人と結婚する女性は、都ではなく、貫一と都の娘であるみどりだったんですね。これがエピローグで明かされます。

 

最後の最後でどんでん返し。アッパレです!

 

エピローグでは、みどりの視点から都と貫一の結婚した後の様子が語られます。

 

結婚する前の都の不安は現実となり、経済的に困窮したり都の母だけでなく父までも病に倒れたりと、結婚後も次々とトラブルに見舞われます。

 

それらをなんとか二人で乗り越え、みどりの結婚式に参列する日も夫婦として一緒にいるわけです。

 

都の母、都、都の娘。

それぞれの意思で、全く別の結婚相手を選びました。

結婚は終わりじゃなくて始まりとよく言うように、結婚後も色んなトラブルが起こります。

それでも続けようと思えば、なんとかなるものですね。

読者にそう思わせれてくれるいい結末でした。 

 

そして、もう一つ感じたこと。

女性はやっぱり強いわ。

決断した時の行動力は男性にも負けませんね。

都が悩んでとどまっていた状態から、自ら抜け出し、決断し、前向きに行動していく姿には読んでいるこちらまで前向きな気持ちをもらえました。

 

理由のないモヤモヤした気持ちを抱えている女性におススメしたい小説です。

 

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