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名刺代わりの小説10選

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はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選

 

名刺代わりの小説10選

幼い頃から本を読むことが好きです。

本に関する仕事を長年していたこともあって、趣味と実益を兼ねてたくさんの本を読んできました。もちろん小説も。

そんな私の好きな小説、題して「名刺代わりの小説10選」を紹介します。

人にも全力でおすすめできる、本当に面白い本を選びましたよ~。

※画像をクリックするとAmazonの商品ページにとびます。

 

『十二国記』シリーズ 小野不由美

月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

王政国家の十二の国が存在し、天の意思を受けて麒麟が王を選ぶ…そんな異世界を舞台にしたファンタジー小説シリーズ。

登場人物や国について細かいとろこまで作り込まれていて、フィクションとは思えないほどリアルな世界観。物語の世界に没入してしまうこと間違いなしです。

 

十二国記は、主人公が元々特別な能力を持っていて、バッサバッサと敵をなぎ倒し、旅が進むうちに仲間が増えて、最後には必ず正義が勝つ…そんな王道のファンタジーじゃあない。

『月の影 影の海』でいうと、主人公陽子は何の特別な能力もないし、旅の間ずっと死にそうだし、1冊読み終わった時点でも一人ぼっち。

著者の小野不由美さんが、このシリーズのテーマは「生きることはつらい」だと語っていました。

降りかかる悲劇の理由は分からず、世の中思った通りにいかないことだらけなのは現実でも一緒。

それでもいつのまにか前に進むことができているんだと、この物語は気づかせてくれます。

 

『蜜蜂と遠雷』恩田陸

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

ピアノの国際コンクールに出場する4人の若者を描く群像劇。

音楽を文章で表現するってものすごく難しいはずなのに、花鳥風月、みんなが身近な「自然」を比喩に取り入れてわかりやすく曲が表現されています。

わたしはクラシック音楽に詳しくないので本書に出てくる楽曲を聞いたことがなかったのですが、まるで文章から音楽が聴こえてくるかのように感じました。

 

ストーリーはコンクールの予選から本選に進み、結果が出るまでを時系列で追っているので、この子とこの子の関係どうなるの?誰が予選突破するの?と続きを知りたくて寝る間も惜しんで読んだ覚えがあります。

『ジェノサイド』高野和明

ジェノサイド

あらすじ  

CIAからもたらされたコンゴで新人類発見の知らせ。その子の並外れた能力に脅威を抱いたアメリカ政府は密かに暗殺計画を練る。

特殊部隊出身の庸兵・イエーガーは、難病を抱える息子のために「人類全体に奉仕する仕事」とのみ聞かされている任務としてコンゴに入る。

一方日本では創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人が、急死した父の遺書のもと秘密の私設実験室へとたどり着く。父が打ち込んでいた研究内容を知り、タイムリミットが近づく中、新薬開発に挑む…

ちょっと怖いタイトルですがホラーではないです。いうなればSFミステリー。

物語の最初はホワイトハウスでの密談から始まり、あれ?海外ミステリーだっけ?という印象。

日本、アメリカ、コンゴを舞台とした3つのストーリーラインがあり、終盤になってすべてが繋がり国をまたいで大きく展開します。

壮大でスピード感のあるストーリー。読みながらハリウッド映画を観ているように感じました。

映画化してほしい小説No.1です。

 

『容疑者Xの献身』東野圭吾

容疑者Xの献身 (文春文庫)

わたしはどちらかというと東野圭吾よりも伊坂幸太郎派なんですが、『容疑者Xの献身』は別。

これを越えるミステリー小説ってあるんだろうか...と思ったりします。

トリックや伏線の散りばめ方がお見事でミステリー小説としてすばらしいのは言うまでもなく、人間ドラマの部分も丁寧に描かれていて心動かされます。

映画もよかったですよね。石神を演じた堤真一さんがはまり役でした。

 

『ハリーポッター』シリーズ J・K・ローリング

ハリー・ポッターと賢者の石<新装版>

今では知らない人はいないハリーポッターシリーズですが、わたしはブームが来る前に本屋さんでビビッときて賢者の石を購入していたんですよ!

家で一気読みして、これはすごいものを読んでしまった…と子どもながらに衝撃を受け、親に「これは間違いなく大ヒットする」と予言者のように力説していた覚えがあります。ささやかな自慢です(笑)

『ハリーポッター』シリーズの魅力は深掘りすればするほど楽しいところ。

呪文が言葉遊びになっていたり、登場する不思議な生き物は様々な地域の神話を基にしていたりと、細かい裏話がわかるとどんどん楽しさが増していきます。

そして、ストーリーの始まりと結末がすばらしい。

ハリーポッター以上に興味をそそられる冒頭と、満たされた気持ちになる結末は読んだことがありません。

 

『映画篇』金城一紀

映画篇 (角川文庫)

映画にまつわる5つの物語を収録した短編集。

一つ目の物語にでてくる印象的なセリフがこちら。

「クソみたいな現実が押し付ける結末を、物語の力でいともたやすく変えてやるのだ」(P69)

「物語りには人を救うパワーがある」という力強い主張を感じられます。

わたしはこういう、著者の主張が透けて見える小説が結構好きです。

どの物語も著者の映画愛が伝わってくる内容。映画を好きな人の方がより一層楽しめるかも。

一つ一つ独立した作品ですが、実はすべてが「ローマの休日」に帰結します。そのストーリーの流れも秀逸です。

 

『アイネクライネナハトムジーク』伊坂幸太郎

アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)

伊坂幸太郎の小説は全部好きなので正直どれを挙げてもいいのですが、伊坂作品の中では珍しい恋愛小説『アイネクライネナハトムジーク』を選んでみました。

本書も他作品と同様に本質を突く名言多し。

わたしがなるほどな、と思って書き留めたのはこんな言葉。

 

いい出会いねえかなあとぼやく友人に主人公がいいます。

ようするに、外見が良くて、性格がおまえ好みで、年齢もそこそこ、しかもなぜか彼氏がいない女が自分の目の前に現れてこねえかなってそういうことだろ?

(中略)

そんな都合のいいことなんてあるわけねーんだよ。しかも、その女がおまえのことを気に入って、できれば趣味も似ていればいいな、なんてな、ありえねえよ。どんな確率だよ。

(中略)

いいか、後になって「あの時あそこにいたのが彼女で本当に良かった」って幸運に感謝できるようなのが一番幸せなんだよ」

 

『マカン・マラン』シリーズ 古内一絵

マカン・マラン - 二十三時の夜食カフェ

食べることが好きなのでお料理系小説をよく読みます。

マカン・マランシリーズはお気に入りのお料理小説の一つ。

ドラァグクイーンのシャールさんが夜だけ営むカフェ「マカン・マラン」。そこにやってくる悩めるお客さんとシャールさんの関りを温かく描いた連作短編集です。

シャールさんが作るのはマクロビを取り入れた体に優しい料理。

「世界で一番女王なサラダ」、「大晦日のアドベントスープ」、「妬みの苺シロップ」、「風と火のスープカレー」など、章タイトルもなっている料理名からして美味しそうじゃないですか。

いつかドラマ化して「マカン・マラン」の料理を実物で見せていただきたい。というかドラマ化する。絶対!(←予言)

『和菓子のアン』坂木司

和菓子のアン (光文社文庫)

もういっちょお料理系。

主人公梅本杏子、通称アンちゃんは、デパ地下の和菓子屋さん「みつ屋」でバイトを始めます。

本書はアンちゃんが個性豊かな店員たち共に、お客さんから次々ともたらされる謎を解決していく和菓子ミステリー。

ミステリーとはいっても誰かが死んだり、傷ついたりはしません。

その謎を解くとお客さんがちょっとハッピーになれる、そんなささやかなミステリーです。

ドラマチック過ぎないところが本書の魅力。日常ってこんなかんじですよね。

和菓子の世界って奥が深いんだなと本書を読んで知りました。

読み終えると、和菓子を食べたくなること間違いなしです!

 

「狐笛のかなた」上橋菜穂子

狐笛のかなた(新潮文庫)

あらすじ  

亡き母から人の心が聞こえる<聞き耳>の能力を受け継いだ少女・小夜は、現世と神の世の境に存在する「あわい」に生まれた霊狐・野火を救う。

やがて隣り合う2つの国の争いは、共に惹かれ合う幼い2人を巻き込み、その運命を分かつのだった…。

小夜をひたすらに恋慕い、守る野火の一途さに胸を打たれます。

本書はとにかく風景描写が美しい。

桜の花びらがはらはらと舞い散る里、暗く不気味な森、風が吹き渡る夜の草原など、日本の原風景と思わせる情景がありありと目に浮かびます。

圧倒的に海外作品が多いファンタジー小説ですが、『狐笛のかなた』は日本の良さを詰め込んだ、和製ファンタジーの代表作だと思っています。

 

まとめ

好きな小説を10作品、好きな理由とともに挙げてみました。

ツイッターでいうところの#名刺代わりの小説10選 です。

書いていてすごく楽しかった。

 

最後に。はてなブログさん、10周年おめでとうございます。

万年筆とインク欲しいなぁ(*^^*)